パッケージを見るとついそう読んでしまうゴールデンバットが生まれた1932年頃ですら、葉巻、キセル、紙巻タバコ、手巻きたばこ、パイプたばこ、刻みたばこ、嗅ぎたばこと既に百花繚乱でした。

税収が見込めると判断したのか1949年には日本専売公社が発足、タバコ会社は実質国が管理することになりました。タバコの生産、製造、仕入れ、販売、価格などが細かく決められ、国内でタバコを製造するのは実質的に専売公社しか認められず、外国製タバコの輸入販売も登録制と決められたのです。

1984年には、タバコ産業の“健全な育成”を目指すために作られた「たばこ事業法」という法律も施行され、1985年に日本専売公社は民営化され日本たばこ産業株式会社(JT)として再出発し、現在に至ります。さて、2020年タバコの種類はいったいどれだけ膨張しているのでしょうか。

減っては増え、膨張し続けるタバコ業界

16世紀コロンブスの大航海から広まったタバコは、あっという間に世界に拡散。日本も16-17世紀に伝わり進化してきました。現在、日本国内で販売されているタバコは、紙巻、葉巻、パイプ刻み、手巻など約700種類だそうで、近年では、次世代タバコといわれる電子タバコ、加熱式タバコが加わり、無煙タバコのVEROや VAPEやJUULといった三世代タバコも続々登場。最近静かなブームのリトルシガーも種類がジワリと増えており、正確な数はとても把握できません。 一度吸ったらなかなかやめられない嗜好品たばこは、淘汰されては生まれて何故こんなに種類が増え続けるのでしょう。タバコの中にある有毒物質の数は3,000とも4,000ともいわれますが、この数に追いつくのではないかと思うほどの膨張ぶりです。

欲とお金?誰が得をしてる?

つい目先のことしか意識しない私たちですが、タバコ代は一人1日約500円でも、1400万人が払うといきなり7兆円です。ニコチンの健康被害が広く流布され認識が変わってきても、では健康に悪いから皆さんやめましょうとあっさり言えない金額です。「ニコチンは含みません、健康的です」と、嘘か本当か怪しい次世代タバコなるものにシフトチェンジしてもらってでも維持したい規模なのではないかと思います。誰が得をしているのか、そこに喫煙者はいるのか?気になるところです。

税金対策で増えるケース

たばこ税制で葉巻は課税方法が紙巻きタバコと違って、タバコ葉1グラムを紙巻きタバコ1本に換算します。そこでタバコ葉の重量を少なくすれば課税を下げられるという狙いで誕生した新ジャンルが最近静かなブームの「リトルシガー」です。紙巻きタバコとそっくりですが葉巻です。ちなみにシガーとは葉巻のことで、紙巻タバコはシガレットといいます。リトルシガー紙巻タバコの形をした葉巻(シガー)になります。紙ではなくタバコの葉を加工した紙で巻いているので見た目にはどれも茶色。タバコ葉の量をより少なくするためかスリムタイプが多く、特徴はなんといっても圧倒的安さです。

紙巻タバコは薬品を含んだ紙でタバコ葉を巻いていますが、リトルシガーは、タバコ葉由来の紙なので、その分の害は少ないと思われているようです。しかし燃焼剤が塗られているので大差ないのかも知れません。ところで刑務所では、どうしてもタバコを吸いたい受刑者がバナナやグレープフルーツの皮の繊維質の部分(白い部分)を干し、完全に乾燥させて細かく砕いて紙で巻いたタバコを作っているそうです。紙には特に条件はないものの「三省堂の辞書で巻いたタバコが一番旨い」のだとか。(『サラリーマン、刑務所に行く!』 三栄書房刊より)辞書の紙は、タバコの紙より被害が少ないのかも知れませんね。

スタイリッシュでおしゃれなタバコ

しかしタバコのネーミングやパッケージは、いつの時代もやたらスタイリッシュで一歩先を行くようなデザインが多いですね。デザイン性が高いことでまるで良いものと錯覚してしいまいそうです。特に次世代タバコのデバイスは昔から小道具好きの日本人としては魅力的なグッズです。タバコを吸わなくても「あれ、なんだろう」と気にとめた人も多いかも知れません。

そんな高度なデザイン性に騙されて粋な嗜好品という認識に寄り、愛煙家という怪しいポジションもあったりしてより積極的に受け入れられやすい環境が整っているような気もします。もし、紙巻タバコの写真のごとくデバイスが病理を持つ肺の形状や模様だったらどうでしょう。買いますか?でも、それが本当の姿です。

フォルムの美しさやデザインのスマートさと喫煙の結果は真逆なのです。一流モデルが大人びた表情で煙を吐くのも、ただの生理学的なニコチン中毒の姿を隠すためのポーズです。 軽い気持ちで始めたとしてもニコチンに一度侵された脳は「タバコはなくてはならないもの」という錯覚を起こし簡単にはやめられなくなります。これらは、すべて計算された購買衝動。あなたの体と健康は、あなたとあなたを愛する人たちの大切なものですから冷静に考えてみましょう。

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